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オープンソースな治療法 その8(心の力)

世の中には色々な治療法がありますし、病気の原因も個人によって、様々です。原因と治療法がハッキリ、わかっているのはごく一部の病気だけです(例えば、感染症や特定の栄養素が欠乏していて、なる病気(脚気など)など)。さらに厄介なのが、ある治療法を試して、劇的に治ったとしても、原因がその治療法に関連したモノだったとは必ずしも言えないという事です。例えば、食事療法でガンが治ったとして、

 

ガンは(誰にとっても)食事が原因でなる病気だ

 

とは言えないのは、このブログでも何度となく、指摘しました(原因は個人別にある)。さらに、

 

Aさんのガンが食事療法で治ったとして、やはり、Aさんの原因が食事とも限らない

 

のです。というのも、人間の心の力って、一般の人が思っている以上に、ものすごい強力な作用を持っているからです。つまり、プラシーボ効果で治っているのかもしれないという事です。プラシーボ効果というのは日本語で偽薬効果とも言って、要するに、

 

イワシの頭も信心

 

という類のものです。信じこんでいると、本当に効果が出てしまう。それはガンですら、例外の無い強力なもので、それも、一晩で大きく退縮させたり、場合によっては消失させる力を持っています(逆に一晩で大きくなったりもする)。よく、西洋医学の医師が、代替医療が非科学的であるとして、否定する為にこの言葉を使う傾向があるのですが、

 

プラシーボ効果の科学的な説明は誰も出来ません。

 

それに、アンドリューワイル先生(アメリカの自然療法の権威)が言うように、西洋医学を含めた、どんな治療法もプラシーボ効果は含まれてしまう(比率は変わるでしょうが)のです。いくら、製作時に二重盲検法をした新薬だとしても、実際に患者に投与する時には、

 

患者が信頼している医師から処方されるか

 

不信感を抱いている医師から処方されるか

 

で必ず、プラシーボが働く余地が生まれてしまうからです。また、患者の個人的な薬に対するイメージや情報(ネットで調べて知っているなど)でも変わってきます。でも、そんな些細な事で、効果に影響があるのだろうか?と思うかもしれません。しかし、実際、病気になる原因も治る原因も、実は他人から見れば些細な事である事が多い気がします。というのも、一般にプラシーボというのはある種のマインドコントロールのように、時間をかけて、信じこませるほど、強い催眠的効果が必要だと考えられていると思いますが、実際は、どちらかというと、サブリミナル効果のような、無意識に働きかけるような、小さな心のスイッチを押すという感じで働く方が多いような気がします。

 

人間って、どんな事でも、強制的に働きかけると、多くは拒絶反応を示すものです。小学生の頃、歴史が大嫌いだった人が大人になって、考古学ファンになったり、今、流行りの歴女になったりする事があります。それは他人から強制されると、心が反発を起こすからで、自発的な興味だと、心の抵抗が著しく下がるからです。

 

そのような強力な心の力がある為、私個人も、劇的な治験を何回、重ねても、未だにどうして、同じ事をして、劇的に治る場合とそうでない場合があるのかを明確に説明がつかないでいます。考えられるのが、ココでいつも説明している、相性説です。鍵と錠前が一致しないと、自然治癒力という扉が開かないからという説明です。ただ、その鍵は同じ人間なら、一生、同じかというと、それも違うのです。究極は毎回、違ってきます。そのため、単純に治療法や施術者との相性という問題ではなくて、

 

心のスイッチを押す事が抵抗なく出来るかどうか

 

にかかっているのかもしれないと、フト、思うんです。さらにややこしいのが、その心というのも、表面上の意識だけでなく、無意識の方が力が大きいようなのです。例えば、私の治療法に懐疑的な人が家族に半ば、無理やり連れて来られて受ける人がたまにいますが(最終的には、本人に同意は取るが、内心はやはり不服)、

 

そんな人に限って、劇的な効果が出たりします。

 

それ以来、私を信頼してくれる人と、どんなに客観的な効果を見せても、無視する人に分かれるのは、笠原理論で言う通りです。

 

つまり、明らかに表面的な意識で信じているから効くといった、単純なモノではないのです。

 

さらに、ある疾患で過去に治った人が、別の疾患で治療を受けても、同じような経過をたどるかというと、それもそうでは無いケースが圧倒的です。つまり、単純な相性説(対治療法や対施術者)でも、説明がつきません。

 

だとすれば、結論は以下のようになると思います。

 

1.一般に考えられているプラシーボ効果の定義が実は間違っている(信じているからではない)。

2.プラシーボとは別の心の力が存在している。そして、それは心の抵抗感が低い時に起こりやすいので、大抵は些細なきっかけ(心のスイッチ)で起こる。

 3.操体でいう、カラダの欲求が毎回、違うから(性善説による自然哲学な説明)

 

もちろん、同業者に怒られそうなので、念のため、申し上げておきますと、鍼灸や操体といった物理療法は純粋にそれ自体の効果はあると思います。西洋医学の薬のような二重盲検法といった方法が使えない(偽の針なんか、刺せません)ので、EBMという観点からは、どうしても証明が難しいのですが、先ほど、NHKで放送があったアイスマン(ヨーロッパで発見された約5千年前の凍結遺体)に実は鍼灸治療を受けていた形跡が発見されたように、その長い伝統が、単なるプラシーボであったとはいくらなんでも、考えにくいからです。

 

ただ、劇的な症例と、そうでない人との差があまりに激しい(オマエが下手だからだと同業先輩には言われそうですが、臨床経験50年の先輩も同じ事を仰っているので、技術だけでは語れない問題と認識しております)ので、実際には

 

そういった治癒要因が複雑に絡んでいる事と、個人でその主な治癒要因の比率がかなり、異なるんじゃないか?

 

というのが私の素直な感想です。ちなみにイメージ療法はまさに心の力を利用した治療法であって、西洋医学の医師が言う、プラシーボ効果の典型だと思います。何を言いたいかというと、

 

プラシーボ効果を否定的な意味で使うのではなく、積極的に利用する方が患者の為になるし、究極は、全ての臨床家はプラシーボ効果をいかに最大限、発揮させるかという職業上の使命を持っているとも言えなくはありません。もちろん、その事情をきちんと、患者さんに説明した上でする事が肝要です(イメージ療法のように。でないと、サギになってしまう可能性がありますから。小麦粉をものすごく効く薬だと売れば、サギですから。たとえ、結果的に効いたとしても)。

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