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オープンソースな治療法 その7(病そのもの)

風邪の効用という、非常に面白い本があります。作者は野口整体の創始者として、有名な野口晴哉先生です。ちくま文庫から出ているので、一般の人でも本屋さんで買えると思います(他の本の多くは、全生社という、野口の団体でしか、入手出来ない)。

 

この本の画期的なところは、病気が実は治療法そのものだという事です。それどころか、風邪などの軽い病気を利用して、持病(ガンですら)治してしまうというのです(私は確認出来ていませんが、実際に治ったという人がいるそうです。俳優の川津祐介氏が著作本「超能力健康法」で告白)。

 

私達、自然療法家は、瞑眩(好転反応)というものを常に意識しています。患者が治癒する時に現れる、一過性の不快症状です。症状が再燃したか、患者の病歴を遡るように、別の症状が出ては消えるという事を繰り返す事もありますが、その都度、目的の症状が軽快、もしくは消失していくので、好転反応と呼んでいるのです。その出方、出る症状の種類などは、個人によって、バラバラなので、出現前に予測する事が出来ず、その為、

 

治療法が合わず、悪化しているのか、瞑眩なのかを常に見定めないといけないのです。

 

ところが、野口先生は著作本で、あっさり、このように認めてしまうのです。

 

瞑眩(好転反応)と病気と、どう違うかと思っていたが、両者は同じものだとわかった。

 

そうなんです。まさにコロンブスの卵的な発想ですが、実は病そのものが、治癒のプロセスにすぎないという事なんです。ただ、通常の病気と呼ばれているのは、そのプロセスの進行が異常に遅いか、止まっている状態という事だと思われます。

これは、西式健康法西勝造も同じような事を言っていて、

 

症状即療法

 

と言います。これは性善説にたった考え方で、病を敵と見なさないのです。

病は、もっと悪化した状態(究極は死)を避ける為に人体が起こす、回復反応だと考えるわけです。ですから、風邪のような軽い病気はその典型で、風邪をひく事で、身体を整える、つまり、自然な整体をする役目をしているというのです。

考えてもみてください。風邪をひくと、熱が出ます。それは現代医学的に考えても、発熱する事で、ウィルスを弱らせ、体内で増殖するスピードを抑える事が可能です。また、下痢や嘔吐・咳は、ウィルスを下から上から出す事になりますから、それも理にかなっています。これは操体の橋本先生も言われていた事です。ある弟子が、風邪をひいて、高熱が出て、薬を飲もうとしたら、カミナリが落ちたそうです。

 

「熱が出るから、生かされとんだ!」

 

と。もちろん、極端に走る事はお勧め出来ません。私の知人で、西式健康法を信望していた人がいたのですが、お子さんがインフルエンザにかかった時に、指導者の言うとおり、自然療法を試みていたら、高熱が何時まで経っても下がらず、危ないところまでいった為、急遽、病院へ行って、解熱剤を投与する事になったというエピソードを語ってくれた事があります。それ以来、それほど、熱心に信望しなくなったそうです。

 

ただ、こう考えると、なぜ、病気というものがあるのか?という、根源的な問いに、少なくとも、不自然な老化説などに固執している現代医学よりも、私個人は説得的に感じるのですが、いかがでしょうか?もちろん、老化説そのものを否定しているのではなく、あくまで、不自然な老化説です。病院に行くと、50歳以上の人はほぼ、間違いなく、加齢のせいにされますから。だとすれば、病院に行く必要なんか、無いという事を医師自らが告白しているようなものです。なにせ、若返る薬など、発明されていないのですから。

 

症状即療法説に従えば、もっと、症状を出し続ければいずれ、治る事になります。しかし、慢性疾患は何十年と続く場合があり、死ぬまで治らない事もあります。それはなぜなのか?という疑問が出てきます。野口先生は、風邪は治療するのではなく、経過させなければいけないと言います。下手な治療をするから停滞して、悪化してしまい、その時に初めて、

 

風邪は万病の元

 

になってしまうのだと言うのです。風邪は自然の整体であるから、それをうまく、経過させる事こそが真の治療だというスタンスです。この本では風邪の事しか、書かれていませんが、万病に通じる概念なのかもしれません。そう、思うと、病を敵視して、治す事を

 

病を克服する

 

と表現するのも、ちょっと、違うのかもしれませんね。むしろ、

 

病を支援する(経過する為に)

 

が正しいのかもしれません。

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